宅録の質を上げるヒント! 注意点やおすすめ機材も交えてご紹介

創作Tips

ぼちぼち年末が迫ってきております。
皆さんは年末に向けての準備はバッチリでしょうか?
ちなみに私はまだクリスマスケーキもおせちも注文していません。

改めまして、こんにちは。
デジタル職人株式会社 人事の小林です。

今回はなんと…ずっとお送りしたかった現場取材シリーズ第1弾!
実際の制作現場にいるスタッフに色々と聞いていこうかと思っています。

今回お送りするテーマは、ズバリ「宅録」についてです。

 

▼デジタル職人株式会社 公式ホームページ

 

”宅録”とは


今回のテーマでもある宅録。
読んでそのまま、”自宅で収録する”スタイルのことです。

声優さんなどが声を吹き込まれる際、スタジオでの収録というイメージがある方もいらっしゃるかと思いますが、昨今は設備の急速な拡充と、声優さんの需要の高まりを受けて宅録形式での活動も活発になってきています。
実際、弊社で声優さんの募集をする際にも宅録でご参加いただく事が多いです。

今回は弊社の動画チームで活躍する
”音のプロフェッショナル”であるYさんに色々聞いていきたいと思います!

 

宅録とスタジオ収録の違い

※以下、小=人事の小林 Y=動画チーム所属Yさん

小:Yさんよろしくお願いします~
Y:よろしくです~

小:早速いろいろ聞いていきたいんですが、
まず宅録とスタジオ収録の違いって明確なものも含めるとどういったものがありますか

Y:そうですね…まず大きな違いは「人数」だと思います。
小:人数?

Y:そう、収録に関わる人数。
スタジオ収録って、ディレクターである音響監督や
録音エンジニアがその場にいるので、適切な指示が得られるんです。
適切な音量だとか、音質・読み方のニュアンスなんかがそうですね。

あとは、まあスタジオの方が設備面では申し分ないです。
本格的な防音室や、業務用の高品質マイク、
プロレベルの録音ソフト等が揃っているという事は魅力的
です。

特に防音室は、自宅で同じような環境を作ることは難しいので、
スタジオ収録の方がノイズを少なく抑えることが可能なんです。

ノイズに関しても、スタジオ収録なら音響監督や録音エンジニアから「これはノイズ」と指摘してもらえるので、音の判断まで声優さん自身が気を使う必要がなくなります。

宅録ではノイズの確認を含めて、声優さん自身が何でもやらないといけないという点が一番大きな違いではないでしょうか。

 

機材や質の面でもやはりスタジオ収録は便利な面が多い

小:なるほど…確かにスタジオ収録の方が設備等や視野の面で優れていますね。
では、宅録でのメリットって何でしょうか?

Y:メリット…いくつかありますが、案件的な側面では…

・一人で収録できる、人員面での手軽さ
・スタジオ手配がいらないぶん、収録のスタートが早い
・スタジオ費用が発生しないため、必要なコストが低い

などがメリットとして考えられますね。

小:特徴を聞いていると、宅録ではコンパクトさを活かした機敏な動きが出来そうですね。

Y:機敏な動き…そうですね。
フットワークの軽さはあると思います。
あとは、住むところに制限がなくなるので、
地方在住の声優さんにもチャンスがある点も大きなメリットです。

小:場所は大きいメリットですね!素人の私でも、なんとなく都市部じゃないと活動ってできないのかな~っていうイメージがありました。

Y:宅録では場所を気にせず収録ができるので、先に説明したコスト面と併せても自由度は高いです。地方在住の声優さんにも活躍の場が広がり、収録参加へのハードルが下がるので、声優さん側にも、我々発注者にもそれぞれメリットがありますね。

 

宅録に必要な設備

小:宅録のメリットはわかったんですが、
実際に宅録をする…となったら設備を整えないといけませんよね。
どういった物を用意すればいいのでしょうか?

Y:そうですね、では今回は「場所」と「道具」に分けて説明をします。

小:場所にも向き不向きがあるんですか?

Y:実はあるんですよ。部屋の状態によっても音質に影響が出ます。
機材による改善に限界があるという事はぜひ知っていただきたいですね。

 

収録場所について

機材も大事ですが、使う場所も大事です。

小:では、収録場所についてですが、
まず理想の環境ってどんな状態でしょうか?

Y:そうですね~、
一言で言えば「雑音・反響の少ない部屋」です。

雑音についてはイメージでなんとなくわかると思いますが、

・窓の近くにマイクを置かない
・マイクと適切な距離をおいて喋る
・エアコンなどは収録時オフにしておく

こういう所が雑音については注意したいポイントです。
ただ、個人的には反響音の方に問題点があるのではと感じていて

・必要以上に広い部屋で収録しない
・リフレクションフィルターの使用

などが対策として挙げられます。
反響音は最も音質に影響する要素かな~と感じています。

 

小:壁いっぱいに吸音材とか貼り付けるわけにもいかないですし、小さい場所とかリフレクションフィルターを用意する方が良さそうですね。

難しいことを承知でお聞きするんですが、
ある程度すぐにできて効果がある反響音対策ってありますか?

 

Y:えーと…難しいオーダーですね(笑)
すぐにできて効果があるとすれば、毛布を使うことです。

小:毛布…?ふつうの毛布ですか?

Y:普通の毛布です。これをつかって、
雪で作る「かまくら」みたいに周囲を覆ってしまうんですよ。

声って部屋の壁や窓、家具などに当たって反射してしまうんです
その反射した声(音)をマイクが拾ってしまうことで、
録音される音が「地声+反射」になってしまい、
音がボヤける原因になります。

そこで、
毛布により反射の部分を吸収することで、
地声のみをマイクに収録することができる…というわけなんです。

暑すぎて冬にしか使えない欠点はありますけど、毛布のかまくらで収録するだけでも結構違ってきますので、もし反響音が気になる場合は一度試してみてください。

 

機材について① 録音機材

マイク一本で勝負する…わけではありません。他の機材も重要。

Y:場所の話をしたので次は機材のお話ですね。
小林さんは宅録に必要な機材のイメージってどんなのがあります?

小:え~…マイクと、記録するためのパソコンと、
さっきお話に出たリフレクションフィルターなどでしょうか?

 

Y:半分くらいは合ってます。最低限必要なものとして、

・マイク
・パソコン
・録音ソフト

音質をしっかりしたものにするためには、

・リフレクションフィルター
・ポップガード
・必要に応じて吸音材など

などがあります。
品質を意識するのであれば、さっき挙げた6個のアイテムは揃えていただいたほうが良いですね。

小:聞き慣れない名前もありますが…
各アイテムの選び方とか目安はありますか?

Y:ケースバイケースなところもありますが、ざっくり言うと

・マイク/
2~3万円のもの。SHUREやaudio technica製など


・パソコン
/新しめであればOK。WindowsでOK、ノートでも化。


・録音ソフト
/録音だけなら無料の「Audacity」で問題ない。


・リフレクションフィルター
/特に指定なし。マイクや環境に合うものを。


・ポップガード
/スポンジ材質のメッシュのもので問題ない。

こんな感じでしょうか。
マイクに関しては厳密に言うと2種類あるんですが、
こちらも選ぶ種類によってはもう一つ追加で機材が必要になります。

 

機材について② マイクについて

Y:マイクについてなんですけど、
大きく2種類あって

・ダイナミックマイク/比較的安価。カラオケなどで使用
・コンデンサーマイク/値段は高め。スタジオなどで使用

があります。
ダイナミックマイクの方は皆さん見たことがあるのではと思いますが…

小:これだけ見るとコンデンサーマイクの方が良さそうですね。

Y:スタジオで使用しているし、良さそうに思えますよね。
でも決してそういうわけではないんです。

コンデンサーマイクはとても繊細なので、
我々が気にならない小さな音でも拾いやすい性質があります。

宅録の環境では小さな音を拾ってしまい、ノイズが混じってしまう事にも繋がりますので、コンデンサーマイク一択という事ではないんです。

加えて、コンデンサーマイクは電源供給が必要な機会であり、マイクとパソコンをつなぐ中継器として「オーディオインターフェース」という機材が必要な点も特徴の一つです。

オーディオインターフェースなどの導入を含め、充分に静かな環境を作れる方であれば、コンデンサーマイクでの宅録は問題ないと思います。

 

まとめ

適切なものをそろえれば、質の高い録音は宅録でも可能

Y:ここまで色々お話してきましたが、
注意点や機材の選び方をまとめると大体こんな感じです。

機材では

・マイク/2~3万円のもの。SHUREやaudio technica製など
・パソコン/新しめであればOK。WindowsでOK、ノートでも化。
・録音ソフト/録音だけなら無料の「Audacity」で問題ない。
・リフレクションフィルター/特に指定なし。マイクや環境に合うものを。
・ポップガード/スポンジ材質のメッシュのもので問題ない。

収録場所では

・雑音や反響の少ない部屋環境を整える
・窓の近くにマイクを置かない
・マイクと適切な距離をおいて喋る
・エアコンなどは収録時オフにしておく
・大きな声を出してもいい時間に収録する

反響音を抑えるためは

・必要以上に広い部屋で収録しない
・リフレクションフィルターの使用

などが必要な要素でしょうか。

小:いや~てっきり大規模に工事しないとこういった環境はできないのかなと思っていましたが、ポイントを押さえると意外に整えやすいイメージが浮かびますね。

Y:そうですね。特に空調の所などはオフにすることを心がけてもらえれば改善できるので、これから宅録に挑戦される方や、今宅録で収録されている方で改善点を探している場合は、ぜひ上記の要素を確認してみてください。

 

おすすめ機材

今回の取材でお聞きした、
Yさんチョイスのおススメ機材やソフトをピックアップしました!
価格帯の参考などにご覧ください。
※こちらの機材は純粋なおすすめであり、広告などではありません。

▼ おすすめ録音フリーソフト:Audacity https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/audacity/

▼ おすすめダイナミックマイク:SM58
https://www.shure.com/ja-JP/products/microphones/sm58

▼ おすすめコンデンサーマイク audio technica AT2020
https://www.audio-technica.co.jp/product/AT2020

 

▼ ほかのおすすめアイテム
オーディオインターフェース フォーカスライトscarlet solo

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/263472/

リフレクションフィルター(反響を抑える)https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/317770/

ポップガード(マイクに直接息がかかるのを抑える)https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/173732/

 

おわりに

さて、今回は宅録について機材選びや収録環境のお話をお届けしました。
今後の記事では、Yさん以外のスタッフにも登場していただく予定です。

弊社の動画チーム、映像だけでなく音にも強いチーム体制となっておりますので、
コミックPVなど動画制作の中で音にこだわりたい企業様は是非一度ご相談ください。

また、この記事を見て「動画チームに興味あります!」という方は、
ぜひ弊社へのご応募をご検討ください。

▼弊社動画制作サービスはこちらから

今回の記事が既に宅録に携わっている方や、これから宅録に挑戦しようと考えている声優さんのお役に立てれば嬉しいです。

ここまで本記事をお読みいただき誠にありがとうございました。
次の記事もお読みいただけますと幸いです。

執筆担当/小林

 

▼デジタル職人株式会社 公式ホームページ

▼デジタル職人株式会社 パートナー登録
(案件単位で応募できるようになります)